正気の沙汰じゃねえ
尾籠な話題で恐縮だが(このマクラを遣ってみたかった)、当方脱毛済である。
2年の月日と10回の痛みと20万の出費を引き換えに、うなじ、脇、ひざ下、VIOをレーザー脱毛している。先日ようやく施術が終わった。
電車で、よく両脇200円!とか3か所500円!とか恐ろしいまでの安さを謳った広告をよく目にするがそういった大手サロンではない。地元にある小さめの美容サロンだ。まつげエクステやフェイシャルエステやリンパマッサージも過去にしてもらっている。
このサロンの脱毛は医療用に近いので料金は高いがその分バシッと効く。2年間でこのサロンに合計40万ほど突っ込んでいるが後悔はない。
今や脱毛は高校生でも簡単に手を出せるようになった。MやTといった大手サロンの施術は受けたことがないからよくわからないが、あんなに安くても元手が取れるくらい儲かっているのだろう。
ただ、ネガキャンをするつもりは毛頭ないのだが、安いがその分何度も通うことになり、しかも安くて人気なので予約が取れない……と嘆く友人も何人か見た。高くてバシッと効くか安くてゆるっと通うか、どう選ぶかは自由だ。そしてどっちにしろ痛い事には変わりない。
脱毛を経験済みの方はご理解頂けるだろう。あの独特の痛み。
ゴムパッチンくらいですよ~と説明する人もいるようだが、私は熱した針ブラシをチクッチクッと刺されている気持ちになった。金を払って足を運んで痛い思いをせねば毛は駆逐できないのだ。
痛みの中でも、VIO脱毛の痛みは格別だ。念のため説明するとVIOとはデリケートゾーン一帯を指す。所謂Vの辺りはまだいい。全然耐えられる。問題はIとOだ。なぜあんなに痛いのか。
毎回、痛みに耐えているうちに脳内の勝俣が人類スゲェー!と騒ぎ出す。
恥部を曝け出し、予めすべての毛を剃られ、薬剤を塗られ、レーザーを打たれる。会員制のSMクラブでもそうそうお目に掛かれないようなプレイだ。
変な所(尻とか)に汗をかくし、「グッ……ウグッ……イッテ……ウ゛ッ」と唸ってしまうタイプの痛みを耐え抜いた自分と、そうまでさせた毛根を恨む。ちなみに、レーザーを打ち終わり冷タオルを股間に当てられている時は旧五千円札の新渡戸稲造のような表情をしている。
そういえば先月、上司同士が髭脱毛について話しているのが聞こえた。男性は毛根も強いからか、髭脱毛も死ぬほど痛いらしい。
男性の脱毛に特徴的なのが笑気ガスや麻酔がオプションでつくという事だ。女性の脱毛サービスではまず見ない。羨ましすぎる。金を積んであの痛みを味わわずに済むならぜひそうしたい。
そもそも髭はチャームポイントにもなりうるが女性の体毛は違う。処理くらいしろよと言われてしまうこんな世の中なのだ。言いたい事も言えないこんな世の中じゃpoisonと反町隆史もブチ切れ寸前である。
そうだ。言いたい事。私はよく「パイパンはいいぞ」と主張しているのだが同意してくれる人は殆どいない。改めて言わせてほしい。パイパンはいいぞ。
なんといっても楽だ。めっちゃくちゃ楽だ。楽というか、わずらわしさがない。すっきりする。焼き畑のようなものだと思えばいい。(調べたら焼き畑は畑を焼いた後にまた植えるらしい。植えちゃダメだ。)最初は違和感があったがもう戻れない。痛がった甲斐があると言うものだ。
自分で処理をするのは安上がりだがリスクも高いので、ある程度余裕が出来たらぜひ脱毛サロンで色々な所の毛を駆逐してほしい。
どうでもいいが、私のVIO脱毛を担当してくれている店員さんが学年は被っていないものの高校の後輩で、部活も担任も同じだったと最近知った。世間って狭いですね~!と、股間に冷タオルを巻かれたまま新渡戸稲造は笑った。