屈強なホラーマン

 

骨折をしたことがない。幼少のみぎりより牛乳を愛し、水泳を6年、体操を4年(教える側にもなった)続けた結果、見事に骨太となった。

 

骨密度とか、そういった老後の健康状態を左右する数値的には良いのだろうがやはり線が細い女性への憧れはある。アクセサリーやネイルアートが映えるすらっとした指先を見ると心の吉良吉影が興奮しだしてしまうのだ。話は逸れるがこのブログは吉良吉影がやたらと出てくる。好きである。吉良吉影ならびにキラークイーンが。

 

話を戻すが、例えばドラマや小説なんかでこんなシーン・表現が出て来たとしよう。

 

「思わずその細い腕を掴んで引き留めた」

 

……男性の手でも手首を一周できないかもしれないと思うと写経中の僧侶のような顔になる。「華奢な体はすっぽり覆われてしまう」とかでも同様だ。

 

私は縦にでかくはないが横は3kmくらいある。むしろ私が彼を覆いつくせるだろう。なんならそのまま世界を恐怖で覆いつくす事だって可能なのだ。

 

以前ファッション誌を読んでいたらオーバーサイズのトップスやワイドパンツから見えるほっそりとした手首足首で女の子アピール♡とあった。確かにだぼっとした裾から少し見える細い手首や足首は魅力的だろう。ほんのちょっと見える肌は色っぽい。

 

しかしそれを骨太がやろうとするとどうなるか?

 

まず全体的な体型が(肉も相まって)太いのでトップスはXXXXXXLくらいになるだろう。そしてワイドパンツが尋常じゃなくワイドになる。ナイル川の川幅くらいないと間に合わない。

 

仮にボーイフレンドデニムを履こうものなら、そのボーイフレンドは競輪選手か千代の富士だろう。後者の場合、既に鬼籍に入られているしそもそも不倫となってしまう。

 

肉は削れるが骨は削れない。この深い業をどうすればいいのだろうか。小さいころから牛乳を飲み続け育った私は考えた。

 

『むしろ死んでから強い』と。

 

人生のステージを死後硬直と同時にスタートさせる。骨が脆かったり細ければ死後の世界でもすぐに消滅してしまうだろう。

 

どうせ冥界では骨ばっかりなんだからその中で燦然と輝く白骨死体になってやれば未来は明るい。オラオラ透けてないスケルトン様のお通りだぜ!と生前スムージーばっかり飲んでいた貧弱な女どもと下北に通いまくっていた軟弱な男どもを蹴散らしてやることも可能なのだ。

 

死後のために今世を完全にあきらめると言う、肉を切って骨を断つを体現していくSTYLEに望みをかける。

 

まぁ、骨の神が現れて「今ここで土下座して”華奢にしてください”と頼めばそうしてやる」と言われたら1秒で土下座を決めるが。

 

そうして細くなった私はボーイフレンドデニムを嬉々として履くし、さすがに彼氏も稀勢の里くらいにはなってるだろう。