飾りじゃないのよ涙は

 

この休日でリンパマッサージに行ってきた。月一で通っているのだがデスクワークで凝り固まった肩や浮腫んだ足をマッサージしてもらうのは気持ちいい。

 

マッサージと合わせてゲルマニウム温浴も付いているのだがこれがまた最高なのだ。ゲルマニウム温浴のシステムやそれがどう作用してくるのかはチンパンジーなのでわからないが、肘から下と膝から下がお湯につかるマシンに入り30分。出る頃にはポッカポカになり汗が噴き出す。

 

この30分の間にお店の人がテレビをつけてくれる。大体は土曜の昼下がりに放送しているようなバラエティ情報番組だ。昨日はジャニーズタレントが出てくる番組で動物園でのロケ映像が流れていた。

 

その中で人間に恋したペンギン(結構有名なあのペンギンだ)が取り上げられているではないか。

 

併せて動物奇想天外とか志村動物園とかあの手の番組に時折出てくる【動物を会話できる女性】が登場。飼育員さんに首ったけのペンギンの気持ちとは……という内容だった。

 

私はゲルマニウム温浴マシンの中でぼ~っとそれを見ていたのだが、そのペンギンが予想以上に悲しい過去を持っていたので気づくと涙目になっていた。

 

そしてお店の人がタオルを持ってくる頃にはすっかり半泣きになっており必死で頬の内側を噛んだ。男、いや、漢としてのプライドが私をそうさせた。

 

導入が長くなったが、つまり私は非常に涙もろいのだ。

 

普段は1日に80回は「殺す」と心の中で唱えているしどんなジュエリーよりも私に似合うのは出刃包丁だと思っている。しかし小さいころから感動モノにはとても弱い。

 

盲導犬クイールのテーマソングを聞いただけで泣く。

 

王様のブランチの映画紹介の5分で泣く。

 

赤ちゃんがお母さんにしがみついているのを見て泣く。

 

通勤電車で中島みゆきを聞いて泣く。

 

感受性が強いと言えば聞こえは良いが、最近ではジョジョの奇妙な冒険のゲームのプロモーション映像を見ただけでも泣くので単に涙腺がポンコツなだけとも言えよう。

 

そして同時に、私は人前で泣くことがほぼ無い。なので上記の”泣く”は”泣きそうなのを必死に我慢してクールな顔でやり過ごそうとする”と言った方が正しい。

 

平素、自虐にまみれている癖に人に弱みを見せることに抵抗があるのでよっぽどの限りは人前で泣きたくない。

 

あとは自分の泣き顔がぬ~べ~に出て来た海難法師(観覧注意)みたいだからという理由もある。ぬ~べ~ですら倒せなかった妖怪だ。そんなものを公の場で呈して良い訳が無い。

 

そんな訳で本当は死ぬほど涙もろいのに妙なプライドのせいで人前で泣けないので、私は鉄のような女だと思われている節がある。明かりの消えた街角で速い車に乗っけられても急にスピンかけられても怖くなかった……と中森明菜を気取って歌っても許されるかもしれない。

 

実際、とある動物のニュースで泣いてしまった話を(当時の)ボーイフレンドに話したら「お前みたいな人でなしが?」と言われた。彼氏にすらそう思われていたのだ。お前の目から見た私はどこまで畜生なんだと問いかけたくなったが我慢した。

 

そんな私でも先日、職場でのセクハラに耐え兼ね号泣しながら友達に電話で話を聞いてもらったのだが、なんというか泣き方が武士。そう、武士のそれだった。

 

「ひっく、ふええ」みたいなアレじゃなく天を仰ぎ唇を噛みしめ悔しさに震え涙を流す。そんな感じだった。

 

一応その問題は解決し今は平穏に暮らしている。

 

明菜ちゃんが歌っている通り、涙は飾りじゃないのだ。少なくとも私には、♪このナミダ・ナゲキ→ミライへのステップ さぁ思い切りブチ破ろう♪ の方がしっくりくる。KAT-TUNぐらいギリギリで生きていく力強さが今の私には必要だ。

 

ギリギリで生きた結果、生前葬を開く運びとなった際はぜひとも「殺意♡深めて」と書かれた団扇とキンブレを持ってご来場いただければと思う。お前らの香典待ってるぜ!