鳥の死骸解体して劇薬塗して火葬した奴
一人暮らしだと中々揚げ物をしない。料理は好きだし、自炊中心の生活ではあるがさすがに揚げ物は億劫に思う。鶏肉が好物なのでから揚げなんかも作りたいのだが、調理が簡単なので摂取する肉と言えばもっぱら豚肉だ。本当は10代の処女の肉とかが食べたいのだが、どこにも売っていない。
そんなわけで実家にいた頃よりめっきり鶏肉を食べる機会が減った……と言いたいところだが実はそうでもない。ここ3週間ほど、ほぼ毎日仕事帰りにセブンイレブンでホットスナックを買っているからだ。
そもそも、私の平日のタイムテーブルは金太郎飴のようにほぼ変化がない。
7:05 起床
7:10 ミニクロワッサン(3口で食べ終わる)2個を無理矢理押し込む
7:30 身支度を済ませ出勤
8:50 会社に着く。化粧の仕上げと髪の毛を整える。
9:20ごろ始業。
12時~13時に昼休憩。
大体19時前後に退勤。
20:30ごろ帰宅。風呂、夕飯、弁当作りを済ませ24時~25時に就寝。
こうなると口にするものもほぼ一定なのだ。朝は前述通りパン、昼休みまでは緑茶を飲み、昼は弁当、午後はブラックコーヒーをたまに飲み、チョコレートや頂いたお菓子を一粒二粒食べる。
帰りはへとへとになって殺意と空腹を抑えながら帰路に着く。ほぼ白目を剥いているのでそろそろ職場と自宅付近の学区PTAが巡回パトロールを始める頃だろう。
そんな疲れ果てた体で最寄り駅につき、目の前にセブンイレブンがあったらそれはもう入店するしかない。多分ガールズバーとかでも入っていると思うが。
そして白目・震えた指先・誇り高き原住民族の言葉で「うひゅ、ひゅ、う、うま辛チチチ、チキンくだひゃい……」と取引を始めるのだ。
売人はみな素敵な笑顔と温かい態度でブツを渡し、こちらからの報酬を受け取る。心温まるほのぼの取引現場である。最近はうま辛チキンとうま辛棒を交互に買っていくのでバイトの間で”うま辛ブス”と呼ばれていることだろう。
そう呼ばれても構わないくらいセブンのうま辛系ホットスナックが好きなのだ。
坂道を登りながら息を切らし、呼吸が浅くなった所でおもむろに袋からチキンを取り出し咀嚼する。たまにマジで窒息しそうになるが、生を感じられ高みを目指す高僧のような気持になれる。200円以内で空腹と生への懐疑心を満たしてくれるセブンのホットスナックにノーベル平和賞を与えたい。
そもそもスパイシーな味付けの鶏肉が昔から好きで、長らくファミマのスパイシーチキンが王座を独占していたのだがうま辛シリーズの出現によりその座も危うくなった。
コンビニホットスナックの益々の発展を願い、これからも美味くて辛い鶏の死骸を血走った目で食べ続けて行きたい。少なくともPTAが防犯強化パトロールを始めるまでは。
そういえば、「辛い」は「からい」とも「つらい」とも読む。うま辛ブスの語源は①うまくてカラいものばっかり買っていくブス②うまいもの食べることでしかツラい人生に光を見つけられないブス……のどちらだろうか。
どっちもだろ、と思った貴方はこの先夜道の一人歩きに気を付けて頂きたい。いつのまにか鶏の死骸を咀嚼しながら近づいてくる女が居るかもしれない。